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2011年7月5日火曜日

「日本がe-invoicingの先進地域になる」ことが、日本経済復興の一つの鍵になる

「日本がe-invoicingの先進地域になる」ことが、日本経済復興の一つの鍵になる

日本が貿易立国であることは誰もが認めるところです。内需拡大と言っても、少子高齢化に伴いあらゆる業種・セクターの国内市場は縮小傾向にあり、外需に経済が依存する仕組みは変わらないことでしょう。

インターネットの普及に伴い、e-commerceに代表されるように商取引のあらゆるフェーズで電子化が進んでいます。しかし、唯一電子化から取り残されているのは、インボイスの発行・受領・処理(承認)フェーズでの業務の電子化です。特に企業間商取引(B2B)においては、企業毎にインボイスの書式が異なり、且つ紙のままで、互いにやり取りされています。

このインボイスの処理(紙のインボイスの発行・郵送/インボイスの受領/インボイスの内容のチェック/自社システムへのデータ入力/承認/支払い/売り掛け管理/与信管理など)には膨大な手間と時間をコストという形でそれぞれの企業が負担しています。

EU経済圏ではインボイスが付加価値税(VAT)処理上、重要な書類となっている都合もあって、欧州委員会が主導して全業種・セクターを対象にインボイスの電子化(e-invoicing)、その為の書式の標準化を行い、さらに企業間に入ってe-invoicingのやり取りを行うサービス・プロバイダー(consolidator)、銀行間の既存のペイメント・チェーン上で電子化されたインボイスを送って、キャッシュ・マネージメントや融資の機会を探ろうとする銀行業界などを巻き込んで、巨大なフレームワークを策定しつつあります。電子化されていないインボイスの数は欧州圏内では約140億枚/年存在し、それらを電子化することによるコスト削減効果は試算では2,600億ユーロ/年(EU GDPの約2%相当)との理論上の試算があります。

サービス・プロバイダー(consolidator)は欧州においてすでに400社以上存在します。欧州企業と商取引のある日本の企業の中でも、それら企業からサービス・プロバイダー(consolidator)を指定されて、e-invoicingのやり取りを要求される場面が近年、増えつつあります。

ドイツ銀行の調べによると、e-invoicingを取引相手に要求したものの、相手が応じようとしないことに不満を持つ企業は約半数に上るとのことです。換言すると、その企業の省力化にe-invoicingを以って協力的であることが、ビジネスにおいて相応しいパートナーということになります。

e-invoicingは今だ黎明期ですが(欧州におけるe-invoicingの普及率は2010年調べで約7%)、e-invoicingがビジネスを行うに当たって、近い将来、パートナーを選ぶ一つの重要なファクターになることは間違いないことでしょう。

残念なことに、我が国では、欧州委員会が主導して目指そうとしているようなe-invoicingの構想は、経済界から上がっていません。銀行業界も既存の内外のペイメント・チェーン(SWIFTによる国際的なペイメント・チェーンを含む)を最大限活用できるチャンスにもかかわらず、e-invoicingにはまだ着目していないようです。インボイスという商取引情報をペイメント・チェーンで扱うには銀行法などの法律の制約があるのかもしれません。

いずれにせよ、日本独自の商習慣や日本語を元に企業がインボイスの処理を続けている限り、貿易面では日本の企業は、特にe-invoicingを導入した欧州の企業からは協力的なパートナーと映らなくなる可能性があります。欧州のe-invoicingのフレームワークを大いに参考にし、それと組み合わせのできる我が国のe-invoicingの策定を始めるべき時期にあるのではないでしょうか?震災・原発事故後、日本から失われた「安全・安心」という信用力を、e-invoicingで打ち出すことが、経済復興の一つの鍵になると考えます。欧州よりも先進的なe-invoicingを逆に日本から世界に提案するぐらいのやる気を今こそ見せるべきでしょう。東北被災県を経済特区にする構想でも、貿易面では英語を用いてe-invoicingが特区と諸外国の間で実現できるようなフレームを構築するチャンスだとも考えます。

By R. Enomori

参考:「ペイメント・チェーンにおける銀行の役割について – e-invoicingを中心に -Reitaku International Journal of Economic Studies Vol. 19, No.1, March 2011
“E-invoicing” by Deutsche Bank Research (May 3, 2010)

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