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2011年1月24日月曜日

「産業日本語」、「オタク日本語」で日本を救う!

「産業日本語」をご存知でしょうか?
普段私たちが日常生活で読み書きしている日本語のことではありません。

『わが国の経済の活性化と国際競争力の強化が以前にも増して叫ばれる今、産業にまつわる情報を表現する日本語をこれまで以上に、情報伝達力と情報発信力が強化された日本語に変革することが必要です。日本語を客観的に分かり易く、かつ、コンピュータ処理にも適するように…(中略)….情報伝達力と情報発信力が強化された新しい日本語….(中略)…. 産業分野・科学技術分野における情報発信力や知的生産性の飛躍に貢献するとともに、わが国産業界全体の国際競争力の強化に資するような日本語』(一般財団法人 日本特許情報機構(Japio)「第1回 産業日本語研究会・シンポジウム(平成22年2月24日開催予定)」開催趣旨文から)

『現在、JAPIOでは、日英機械翻訳向き産業日本語(翻訳TJ)と特許ライティング向き産業日本語(特許TJ)に取組んでいます。なお、産業日本語の英語名は、Technical Japanese(TJ)です。』(Japioのweb siteから転載)

上述の趣旨からおおよそお判りのように、産業分野での海外への情報伝達力・発信力に優れ、且つコンピュータ処理にも適した新たな日本語のことです。「産業日本語」の研究・開発・普及をJapioが主催するシンポジウムで先導しているようです。

日本語は日常会話から文芸、技術文章、学術論文まで広範な分野・目的で均しく用いることができる点で、世界でも稀有に優れた言語です。欧州の国々のように、分野や目的、歴史的・宗教的経緯によっては自国語が使えない(相応しくない)国もあります。日常語としては死語のラテン語が学術用語として残っているのもこの理由です。

優れた言語としての日本語の汎用性(ある意味での曖昧さ・融通さ)が情報伝達力・発信力において、ある特定の分野や目的では障害となる場合があります。

特に、文章の内容に客観的な正確さを求められる特許明細書などの技術文章を日本語で記述すると、これを英語などの他の言語に翻訳することは至難です。ましてや、たとえ日本語に精通する外国人であっても、的確・正確にその内容を理解することはひどく困難です。日本の中だけで流通する技術文章なら、さして問題にならないでしょうが、インターネットの時代、ネットでは時空を超えて、日本語で記述された技術文章があらゆる国の人々に共有・解釈される時代になりつつあります。

既存の日本語での技術文章を海外に発信するのに、一々、手間やコスト・時間のかかる翻訳を要するようでは、いつまでも日本の海外への情報伝達力・発信力は強化されないことでしょう。また、その翻訳も高度に専門的な知識と修練、テクニックを要するので、多くは専門の翻訳者が担っており、情報発信・伝達者と受け手の間に翻訳者が介在します。翻訳の正確さや速さなども、そうなると人なりということになります。

話が脱線しますが、言語ということではIT産業でのアーキテクチャー、狭義の基幹システム(OS)やコードもある意味では言語ということができます。ブログの別項でも述べたように、我が国の産業力の国際的な低下の一因に、特にIT関連分野においては、民生分野のOSの牙城を政治判断で米国に明け渡してしまったことが、IT産業を今日まで根無し草にしたのではないかと考えています。特に教育段階(学校教育の場)で自国産のOS(例えばトロン)を用いることができないということは、将来の我が国のIT業界を担う子どもたちを産業・経済界が自らの目的とする言葉を教え、その言葉で教育できないということを意味します。戸籍上の漢字が他国のアーキテクチャー(文字コード)になければ、当て字も仕方ないと諦めるようでは、ハナから根無し草を認めるようなものです。Unicordでようやく表記ができるようになった、吉野家の「吉」(本来は土に口)も、米国のIT企業が参加するユニコード・コンソーシアムのUnicordでつい最近になって認めてもらったから、なんとか正しく表記できるようになったわけで、戸籍一つ満足に電子化できないが為に、紙の年金台帳の電子化で大きな問題が発生したとも言えるのです(当て字では戸籍上、同姓同名の他人になってしまいます)。最初から借り物のアーキテクチャーでは、戦後憲法と同じくいつまでも借家住まいです。

かなり脱線しましたが、斯様に言語というものは、ある目的のもとで直接的・主体的・積極的に社会や経済(さらには文化…後述)と関わりを持たない限り、他の言語に侵食されてしまうものです。

「産業日本語」に話を戻しますと、「産業日本語」を以って産業目的での海外への情報伝達力・発信力を強化することは極めて大切なことだと考えます。

そう考える理由の一つとして、ネット上の機械(自動)翻訳の普及と翻訳精度の向上があります。特に、Googleの戦略の一つである「統計的機械翻訳」は現代版のロゼッタストーンと言うべきものであって、ネット上の膨大なソースから言語同士で対になる文章を統計的に導き出して、それを元にして翻訳(コーパス)を行うものです。即ち、産業目的での海外への情報伝達力・発信力を強化するには、このコーパスで先ずは他の言語と対になり易い明晰な言語構造に日本語を変換しておくことが前提となります。日本語が翻訳されにくいのなら、いっそのこと、翻訳し易い日本語にしてしまおうということです。

「産業日本語」が『産業にまつわる情報を表現する』のに最適化された言語を目指しているのであれば、同時に日本の文化(特にサブカルチャー)を世界に発信するための「オタク日本語」を提唱しても良いのではないかと個人的には思っています。産業情報と技術さえ海外に発信すれば、製品やサービスが売れるのかと言えば、「ノー」でしょう。

これも私のブログの別項で述べたように(アップルの例)、生活習慣・文化といった背景を製品やサービスと組み合わせることが、「上流」のビジネスです。サブカルチャーはその意味で、背景となり得る要素を含んでいます。私の考える「オタク日本語」はカタカナ、簡単な漢字、絵文字とかアニメやマンガの世界やゲームのキャラクターの独特の符丁などで構成された極めて単純化・象徴化・符合化された言語体系で、基本的にアルファベットは使いません。アルファベットで単純に表音すると「オタク」ではなくなるからです。つまり、これは「産業日本語」と異なり、判る人には判るが判らない人には判らないといった、まさにガラパゴスな「オタク」言語です。したがって、翻訳せずそのまま世界で理解されることを目的とすべきでしょう。事実、アニメやマンガの世界の日本語はそのまま外国人に理解され使われているものが多いので、すでにその素地はあると言えます。”Manga”, “Otaku”, "Moe"から”Bonsai”まで、その背景となるカルチャーをあらわす日本語の表音は多く、海外で受け入れられています。こういったカルチャー関連の日本語に「産業日本語」と同じ位、経済・産業界が関心を持ち、若者とともに関与し、海外に発信することが大事なことではないかと思います。その背景と一緒に日本の製品やサービスを海外に売り込むことが、できたプロモーションなのでしょう。技術とカルチャーを「産業日本語」なり「オタク日本語」で上手に組み合わせて海外に発信することが、私の考えるプロモーションです。秋葉原や渋谷界隈にタムロする若者には実は、海外に発信できる自前のカルチャーと言葉を持っているのかもしれません。

by R. Enomori

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